香りマーケティングについて

 今、香りマーケティングが注目されています。今までは、ディスプレイや色、照明、BGMなど、視覚や聴覚に訴えるマーケティング手法が中心でしたが、香りマーケティングは、五感の中でも、嗅覚に訴えるマーケティング手法です。

 

なぜ、今、香りマーケティングが注目されているのでしょうか。それは、五感の中でも、嗅覚というのは、感情や記憶に関連のある脳の中心部の大脳辺縁系という部分に、直接働きかけるといわれているためです。

 

 そのため、アパレル系のショップやホテルなどで、香りとブランドを結び付けるマーケティング手法として用いられているのです。香りのコンサルタントも活躍しており、ショップのイメージに合った香りを調合してくれるというサービスもあります。

香りマーケティングの仕組みを説明しますと、以下のようになります。

 

1. 心地よい香りで、顧客に快適な空間を提供する。

2. 顧客は、高揚感を感じ、ショップでの滞留時間が延長し、購買意欲が促進する。

3. 心地よい感じとショップのブランドイメージが重ねて記憶される。

4. ブランドの心地よいイメージが記憶に残り、リピート率がアップする。

5. 顧客の購買意欲を促進し、リピート率がアップすることにより、売上向上が見込まれる。

 

 また、パチンコ店での活用も広がっています。パチンコ店では、煙草の臭いが充満しているというイメージが強いですが、天然アロマの香りを店内に拡散することで、煙草の嫌な臭いを消す効果があります。また、心地よい香りで顧客の滞留時間が延長し、売上アップが見込まれます。アメリカのカジノでの実証実験では、ある柑橘系の香りをカジノ内に拡散させたところ、売上が50%以上もアップしたという結果が出ています。

 さらに、病院や歯科医院などでの導入も進んでいます。天然アロマの抗菌力により、感染症などの予防効果があるといわれています。特に歯医者では、薬品の臭いをかいだだけで、子供が泣き出すというような場面も想像できますが、このような薬品の臭いの代わりに、アロマの心地よい香りが院内に広がっていれば、患者も高揚感を感じ、治療の痛みが緩和されるかもしれません。

 この他、スポーツジム、美容院、エステサロン、英会話教室などや、もちろん一般のオフィスなどでも広く活用されています。集中力を高めることで、作業効率のアップやミスの低減を目的として活用されているケースもあります。

 

 香りを部屋に拡散させて楽しむということは、かなり以前から行われていたことですが、マーケティングで大々的に用いられるようになったのは、ここ数年の間です。それは、香りを拡散させる技術の進化によります。業務用に用いられるアロマの拡散器は、ナノレベルの超微粒子を拡散できるといわれています。これにより、空間での香りの滞留時間を長くでき、広い範囲に香りを拡散できるようになったためです。

 

 香りマーケティングは、先進的なショップなどで広く活用されていますが、個人経営の小さなお店でも十分活用できる手法です。家庭用のアロマディフューザーを利用して、店内に心地よい香りを拡散させることで、売上アップが見込まれるかもしれません。また、喫茶店などでは、コーヒーの香りを店内に漂わせることで、売上がアップするという事例も出ています。ぜひ、試してみてはいかがでしょうか。

 

文責:藤田 尚美・tnc会員 (2012.8.30)