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工業統計表によれば、2014年の従業者10人以上の製造業の国内事業所数は11万9千か所で2005年比では11%減、同じく従業者数は6%減、製造品出荷額等は4%増となっています。海外との激しい競争などにより企業内の事業所の集約や廃業で事業所数と従業者数は減っていますが、出荷額は意外にも伸びています。出荷額の伸びの内訳は499人以下が2%、500人以上が8%と規模が大きい方が伸びは大きいが、規模の大小を問わず頑張っていることがうかがわれます。
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一方、4~9人の製造業では状況が一変します。同じ比較で、事業所数42%減、製造品出荷額等26%減、と劇的な減り方です。小規模零細製造業は経営者の高齢化のほか、発注元大企業からのコストダウンの要請に応えきれずに廃業していることが考えられます。生き残りには発注元からのコスタダウン圧力に対抗できる、提案力、短納期、顧客対応品質など価格以外の強みが必要です。
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最近の6年間、製造業の起業家支援に携わってきました。その多くは大手製造企業OBのシニアであり、サラリーマン時代には種々の制約で叶えられなかった事業アイデアと高い志を持って事業化に取り組んでいます。しかし、世界を相手に競争優位な製品を市場投入できるまでの課題解決の壁は高く、順調に売り上げを伸ばすケースは皆無です。共通する最大の課題は資金の確保で、貴重な時間を割いて専門性を活かしたサイドビジネスで運転資金や開発資金を確保している経営者も多くいます。製造業の場合、事業化の成否がはっきりしない段階では、それを判断できる専門家もほとんどいないことから、多くの場合、出資や融資は困難です。このような状況で多くの経営者の期待は助成金・補助金です。今後、製造業での起業を促すためには、成功率は低いかもしれないけれども成功すれば大きなインパクトを社会に与える事業にリスクマネー供給の仕組みを整えることの必要性が高いといえます。
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