・ごく最近,「個人情報保護法」と「景表法」が改正された。
中小企業の事業活動にも大きな影響を与える改正であり,ぜひとも正確にフォローしておきたい。
・まず,個人情報保護法の改正(H29.5.30施行)により,事業に使用する個人情報が5000件以下の事業者についても(たった1件の保有でも)同法の適用を受けることになる。
個人情報は重要な財産であるうえ,手厚く保護することが信頼獲得の基本となることを意識し,必要な措置を講じておくことが必要である。
ここに必要な措置とは,①どんな目的で個人情報を利用するのかをはっきり本人に伝える,②本人の同意なしに目的外利用をしない,③安全に保管する,④みだりに第三者に提供しない,⑤本人の開示要求等があれば誠実に応じる,ことである。
なお,(財)日本情報経済社会推進協会から「JIS Q 15001:2006 個人情報マネジメントシステムー要求事項」に適合しているとの認証を受けると,商品やサービスに「Pマーク」を表示することができる。
ブランド・技術の知財化とともに,差別化の有益なツールとしてPマークの取得を検討してみても良いだろう。
・次に,景表法の改正(H28.4.1施行)により,優良誤認(商品・サービスの品質・企画・その他の内容に関するもの)・有利誤認(商品・サービスの価格・その他の内容に関するもの)の不当な表示が行われた場合,
従来の措置命令に加え,新たに課徴金納付命令の制度が新設された。悪質な不当表示の場合には,措置命令と合わせて,不当表示がなされた商品・サービスの売上額の3%(最大3年分)の課徴金も賦課される。
これらの発令を受けると信用が失墜するうえ,財務基盤が脆弱な事業者においては組織の存亡に関わるほどの経済的なダメージを被る可能性もある。
広告は売上アップの重要なツールだが,優良・有利表示の行き過ぎは禁物である。
特に,景表法7条2項は,当局から表示の裏付け資料の提出を求められたのに所定の期間内に合理性ある資料を提出しないときは,不当表示に当たると「みなす」と定めている。
このように立証責任が転換されていることにも注意が必要である。