産業保護政策で産業は守れるか

結論: 守れない、自己改革能力のある者のみが生き残れる

 

アメリカの鉄鋼産業と自動車産業を例に考察

1.鉄鋼業界

1950年の粗鋼生産量はアメリカ88百万トンに対し日本は5百万トン弱。

1960年ではアメリカ90百万トンに対し日本は22百万トンに増加(50年、60年ともアメリカの数字は約10%のカナダ分を含む)。

その時から1992年迄、途切れることなくダンピング提訴、自主規制、Triger Price Mechanism、輸出許可制度(VRA)を実施し、国内鉄鋼メーカーの保護を行ってきた。

それでも、2000年代に入りBethlehem Steel、LTV Steel、Inland Steel、National Steelと言った名門企業が相次いで破綻、NationalはUS Steelが、その他はインド企業に買収された。

破綻の理由は強い労働組合(USW)を背景とした高い労務費と、すでに成熟していた故に遅れた最新技術の導入遅れと言われている。

 

2.自動車産業

1981年から1994年迄、日米交渉により日本側の輸出自主規制が実施され、アメリカ自動車メーカーの保護が行われたが、結局2009年にChrysler、2012年にGMが民事再生法(Chapter 11)を申請して破綻する結果となった。

一方、日本自動車メーカーは輸出自主規制を行いながら現地生産にシフトし、今や現地企業として雇用増大にも寄与している。

破綻の理由は、鉄鋼産業と同じく強い労働組合(UAW)による高い労務費と、石油価格の高騰に対抗する燃費の良い車の開発を怠った事であると考えられる。

 

この様に保護政策では守れないが、選挙目当ての政治が介入する事で同じ過ちを繰り返すこととなる。

他山の石としたいものである。